『ハリー・ポッターと死の秘宝part2』 ★★★☆☆

part1と2をひとつの作品としてみた場合★★★★☆

最初のハリー・ポッターシリーズである映画『賢者の石』が公開されたのが2001年だから10年である。
『賢者の石』が公開された当時、ハリー・ポッターは11歳。奇しくも僕自身の年齢も11歳だった。
主人公ハリーの年齢と自分の年齢がほぼ同じだったのもあり単行本も発売されたらすぐに買っていたし、映画シリーズも毎回劇場で鑑賞した。
それが10年だ。とてつもなく長い期間であるのに映画版で目だった役者交代もせずに、最後まで作り上げたスタッフ・キャストに最大限の敬意を表したい。

自分の思い入れがなくとも『死の秘宝part2』はとても優れた映画だ。


もし貴方が前作『死の秘宝part1』の長い時間をつかって後半の布石をはるだけの展開に不満を持っているのならば、『part2』はその不満を過去のものにするだろう。
『死の秘宝』は前編、後編を繋げて1つの映画になるのだから。後編は全編がクライマックスで魔法バトルは過去最高のスケールで繰り広げられ、
10年に及んだシリーズの最大のミステリーであるハリーがなぜ特別な存在だったのか、そしてハリーの使命が今作でついに明かされる。
そして物語の裏にあったセブルス・スネイプの悲しい恋の行方が描かれ、ドラマに深みをもたらすとともに感動を誘う。

個人的には原作を読んだときも思ったのだがセブルス・スネイプこそが『ハリー・ポッター』シリーズの主人公なんじゃないかとさえ思う。
ダンブルドアに「まだ想っているのか?」と聞かれたときのスネイプの返答は「Always(字幕では「永遠に」)」。10年という歳月をかけて描いてきたシリーズだけにこの一言は重い。

もちろん表向きの主人公であるハリーやハリーを取り巻くキャラクターにもスポットライトがあてられている。
さすがに死の描写が淡白すぎるとは思うが、膨大な数のキャラクターにもそれぞれの見せ場が用意されていてとても上手いと思った。

クライマックスの盛り上がり方も半端ではなく、善と悪という単純な戦いではないことが描写されている。
自分の過酷な運命を知りながらも自分を支えてくれた人たちの為に戦うハリー、
ハリーと違い特別でもなんでもない普通の魔法使いだったが、自分の心の弱さと戦いながらもハリーを助けるロン、
「両親との記憶」を断ち切ってまで、ハリーに協力し世界を守ろうとするハーマイオニー
ハリー以外は戦うことをせず逃げるという選択肢があるなかで勇気を振り絞って、名前を口にするのも恐ろしい魔法使いに立ち向かうのだ。

イギリスが誇る名優達が勢ぞろいの映画なのでほんとうにキャラクター1人1人が素晴らしかったのだが、いかんせん数が多すぎるのでそれぞれについてダラダラ書くのは割合する。
なにせ『死の秘宝part2』は130分というシリーズ最短の上映時間で映画としてとても良い長さにまとまっているのだから。